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第12話 売られた喧嘩



「ここは託児所じゃねぇんだぞ」

レアの顔を見るや否や、戦士ギルドのシェイディンハル支部長、バーズ・グロ=キャッシュは嫌そうに顔をしかめた。

レアたちは見聞を広める旅の当座の目標だった戦士ギルドの門戸をようやく叩いたのだった。
てっきり加入すると思っていたコウは組織に属するのは苦手だと言い、結局レア一人だけが志願することになった。

レヤウィンのギルドを訪れた際、連絡しておくと言ってくれたギルド員の様子からして、志願する者なら誰でも加入できるものだと思っていた。
もしかしたら別の場所の支部でならすんなり事が運んでいたのかもしれないが、ここ――というより、この支部の長にあまり歓迎されていないようなのである。







「レヤウィン支部から威勢のいいヤツが来るって連絡があったからどんなヤツかと思えば、ただのチビエルフかよ」

詐欺だなとか言いながら心底残念そうにしているバーズに思わずむっとする。

確かに背が低いエルフなのだからその形容は間違ってはいない。
とはいえ、初対面の人間に対してこの言い様はいかがなものか。

不快な気分を軽い咳払いで何とか消し去ったレアは相変わらずしかめっ面のオークに向き直った。

「成りは小さいですけど、普通の女の子たちよりかは断然動けます」

「ベッドの上での話か?」

は!? け、剣士としてです!
ギルドの方々に比べたらまだまだだとは思いますけど、早く一人前になれるように精一杯頑張ります」

「口じゃあ何とでも言えんだよ。
そっちの優男ならまだ多少は使えそうなものの、そんなマッチ棒みてぇなひょろい腕で得物振り回せんのか?
あぁ?」

「…ちゃんと戦えます」

――こいつ、むかつく…

ひくつく顔を必死に抑えながら答える声はわずかに震え、自分でもわかるほどにトーンが低い。
そんなレアを嘲笑うかのようにバーズは鼻を鳴らした。

「ハッ、どうだかな。
そもそもお前が剣士なら、その辺のマッドクラブでも剣士になれちまうって話だぜ」













なおも悪態をつくバーズは壁にしつらえてある武器立てに手を伸ばした。
そしてそこからいくつか武器を取ると、それらをがちゃがちゃと机の上に無造作に置く。
置かれたのは鉄製の剣と斧と弓で、どれも年季が入っているもののきちんと手入れされている。

「デキるって言うんなら、この武器を鉱坑に出張ってるバカ共に届けてこい。
――あぁ、お連れの騎士サマが一緒でも構わねぇぞ。
お前みたいな甘ちゃんエルフは、一人じゃ何も出来ねぇだろうからな」

その瞬間、レアの脳内で何かが切れる音がした。

したり顔のバーズにつかつかと歩み寄りキッと睨みつける。

「馬鹿にしないで! 一人でも出来るわ!」

言って置かれた武器を引っ掴み、まとめて持ち上げた。





ガシャーン!!







「…レア、無理するな」

「む、無理じゃない! いってきます!」

レアは無残な姿で床に転がる武器を急いでかき集めると、周囲の哀れむような呆れたような視線から逃れるように足早に立ち去った。

思いのほか重かったのだろう、武器を引きずっているらしい音が徐々に遠ざかっていく。
そんな音が虚しく響く部屋に残されたコウたちの間に何ともいえない空気が流れた。







「今の子、新人かな?」

「どうだろうな。
でももしそうだとしたら、大方バーズさんにしごかれてるってとこじゃないか?」

「またかー、かわいそうに。
バーズさんってあんなイカつい顔して悪態ついてるけど、趣味はお散歩だっていうからウケるよな」













「あの様子だと、うちの姫君は初仕事を任されたとは思っていないな」

「単純なヤツだ」

オークの俺に言われるなんてよっぽどだぞと面倒くさそうに言うバーズに、コウは苦笑を浮かべる。

「素直なんだろう。
だから、あまり挑発しないでくれないか」

「フンッ、うちに欲しいのは戦士だ。甘ったれたお嬢ちゃんなんていらねぇんだよ」


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