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第15話 ”ありがとう”

負傷者が出たものの、ゴブリン掃討作戦は完了した。
――のだが、ギルドに帰ってきたレアたちの上に、報告を受けたバーズの雷が落ちた。







「おい、チビエルフ!!
お前が引き受けた仕事は何だ、こいつらに武器を届けることだったよなぁ!?
言われたことも理解できねぇなんて、お前の脳ミソはマッドクラブ以下か!?

お前らもだ!!
何勝手にこいつを任務に参加させてんだよ!?
お前らにそんな権限があんのか、あぁ!?

殴られるんじゃないかと思うほどの勢いで捲し立てるバーズの形相はまるで般若のようで、罵倒されるたびにレアは体をびくつかせた。
ちらりとほかの三人を見やれば、時折はいとかすんませんとばつが悪そうにして相槌を打っている。

意外なことに、バーズは足を挫いているからとレアが座って説教を聞くことを許可してくれた。
ギルドに到着する頃には患部が腫れ、痛みも増していたので、レアにとってその申し出はとてもありがたかった。
紳士な面もあるんだなと少し見直したが、それでもやはり逐一悪態はつかなくてもいいと思う。

「今度勝手なマネしてみろ、お前ら全員ダイブロックから蹴り落としてやるからな!!」

とうとうと説教し終えたバーズはそう吐き棄てると、どかどかと玄関口へ向かった。







「あ、バーズさん、お出かけですか?」

「バカ、お散歩に決まってるだろ」













乱暴に扉が閉められた途端、緊張の糸が切れたといった様子で三人衆が一斉に深いため息をついた。
反省はしているようだが、怒られ慣れているのか三人とも案外けろっとしている。
覚えている限り、今日ほど怒られた記憶はない。
彼らとは対照的にしょんぼりしているレアに、リエナが声をかけた。

「大丈夫?
悪かったね、巻き込んじゃって」

「そんな、私の方こそすみませんでした…」

言いながら、さらに落ち込む。

そんなに気にするなと豪快に笑ったオークのブラグはレアの肩を叩いた。
元気づけようと、彼にしたら少し力を入れただけだったのだが強すぎたようで、レアは勢い余って椅子から転げ落ち、その拍子に挫いた足をさらに挫く。

今、世界中を探しても『踏んだり蹴ったり』という言葉が自分以上に似合う人間はいないに違いない。

そう思い一層悄然とするレアを慌てて抱き起こしたリエナは、しばらくして口の端を上げた。

「まぁこれに懲りないでさ、これから頑張って手柄立てて上目指しなよ。応援してるからさ」

その屈託のない笑みに少しだけ気持ちが晴れる。
わずかに微笑み返すレアに、リエナはうんうんと頷いた。







仕事のあとの酒を愉しまんと、三人は街に繰り出した。
今出て行って酒場でバーズにばったり出会ったりでもしたら、お前ら反省してんのかとどやされるんじゃなかろうかという自分の予想が見事に的中したことを、レアは数時間後に知ることになる。

「お疲れ」

彼らを見送ったレアにコウが話しかける。
足の具合を聞かれて平気だと答えたレアは、傍らに立つコウに向き直った。

「ごめんね、迷惑かけて」

「助けない方がよかったか?」

「え?」

どうしてそんなことを言うのかわからずきょとんとしていると、コウは小さなため息をわざとらしくついて目を伏せた。

「そんなに謝られると悪い事をした気になる」

言われてレアは息を呑む。
思い返してみると、助けてもらってからここに戻って来るまでの間、謝り倒しはしたものの、一度も感謝の意を述べていないではないか。

「あ、ごめっ…!
……あ」

――ま、また謝ってる…!

そうじゃなくてとかなんとか言いながら慌てふためくその様子をコウはくすくすと笑って見ていたが、やがてレアから視線を外すと、ゆっくりと顔をそむけて前を見据えた。
突然の面変わりに、レアはうろたえるのをやめて黙って様子をうかがう。
遠くを見つめるその深緑の瞳は、どこか憂いを帯びている。







コウは本当にきれいな顔をしていると、レアは改めて思った。
なめらかな顎のラインに、彫像のようにすっと通った高い鼻筋。
照明のあたたかいオレンジ色の光が長い睫毛に当たり、白磁のような肌に影を落とす。

レアがその整った横顔に見惚れていると、形のいい唇がおもむろに動いた。

「――一度決断を下せば、何事にも必ず結果が付いて来る。
それがどう転ぶかはわからないが、だからといって恐れて立ち止まっていても何も変わらない」

そう言ったコウの眉が一瞬に曇ったのをレアは見た。

「自分の意思で決めるという事が大切なんだ。
散々苦言を呈されたが、彼らに加担した事を後悔してはいないだろう?」

言われてみれば、リエナたちを助けなければよかったなんてこれっぽっちも思っていないし、まして彼女たちのせいで怒られたと恨むはずもない。

頷くレアを見たコウが再びふわりと笑う。

「それは自分で決めた事だからだ」

きっと彼はまた一般的には当たり前のことを言っているだけなのかもしれない。
それでも、その言葉はレアの心には強く響いた。







「…ありがとう」

それは、自分でも驚くほどに穏やかな声音だった。

この感謝の気持ちをもっと的確に表す言葉があればいいのに。
たとえば”ありがとう”の最上級とか。

そう思うともどかしかったが、どういたしましてと言って咲くコウのやわらかい微笑みを見て、レアも顔をほころばせる。
”ちゃんと伝わっている”と言ってくれているようなやさしくてどこか儚いその微笑に、心が満たされていくのをかんじながら。


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お疲れ様っす。

あの強面で散歩趣味とか、いったいあの街のどこを散歩しているのか気になりますww
それとも川辺あたりでキャッキャウフフしているんですかねぇ……一人で。

謝罪と感謝の言葉とか大切でいいですよねぇ。
あのギルドクエストでこんな話に持っていけるなんて、さすが味ひとつ違った!!

うちの連中の謝罪の言葉とか軽すぎてどうしようもないわ…。
一生のお願いが何度もありそうな奴ばかりだし……(;´Д`)
[ 2012/09/23 16:23 ] [ 編集 ]

>>鋼鉄蒸気さん

こんばんわ、コメントありがとうございます!

私の中では、オブリやり始めた当初からバーズさんの趣味はお散歩でした。
会いに行ってもギルドじゃなくて大体街の中州で見かけるのでw
あんないかつい顔で一人でキャッキャウフフしてたら、衛兵に問答無用でスタァァァァップ!!されそうw

ありがとう、すみません。これを言えんやつはどこいっても通用せんわ。
というようなことを、酒飲みのリアル祖父が言ってたのを今思い出しましたw

クエスト絡ませないと今以上にスッカスカの内容になr
それでも結構強引にまとめてる感たっぷりですが(ノ∀`)タハー
次あたりでオリジナルのお話入れようかなぁと画策してたり…

> うちの連中の謝罪の言葉とか軽すぎてどうしようもないわ…。
真っ先にアルミちゃんの顔が浮かんでしまったww
でもあんなかわいこちゃんたちに「一生のお願い☆」とか言われたらほいほい聞いちゃいそうですw
[ 2012/09/25 00:17 ] [ 編集 ]

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