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第7話 胡蝶の夢









「あーやっと着いたぁ…」

部屋に着き、真っ先にベッドに飛び込む。
この場にホタルがいれば『行儀が悪いです!』と言って怒られていただろうが、くたくたな今の私にはそんなことはどうでもよかった。

ブラックウッドの屋敷を出て五日目の朝、私たちはようやくシェイディンハルに到着した。
帝都まででも馬を飛ばせば半日で行けるというのにこれほど時間が掛かってしまっているのは、私が足を引っ張っている以外の何ものでもない。
というのも、普段から体力作りのために特別何もしてこなかった私がひ弱なのは道理で、そんな貧弱な体に慣れない鎧を纏っているものだから体力の消耗が半端ないのだ。
さらに靴擦れするわきょろきょろとよそ見するわで進むペースは落ちる一方だった。
移動手段が徒歩だから時間が掛かるのは当然だとコウは言ってくれたが、明らかに原因は私にある。

これから加盟しようとしている戦士ギルドなんて体力が物を言うのは容易に想像できる。
しっかり鍛えていかないとついていけなくなると危機感を覚えるも、とりあえずくたくたな今の私にはそんなことはどうでもよかった。
久しぶりに味わうふわふわの羽毛の感触がたまらなく気持ちよくて、目を瞑ればそのまま眠りに落ちてしまいそうだ。

そんな私の様子を見ているのだろう、コウがくすくすと笑いながら刀を外している音が耳をかすめる。

「疲れているみたいだな。ギルドに出向くのは明日にするか」

「うん…そうしてもら――」







「って、何で脱いでるのっ!?」

状況が理解出来ず、思わず詰問調になる。
コウは上半身裸の状態で、さらに下も脱ごうとしているのか腰の金具に手をかけているところだった。

その顔立ちからして体の線も細いのかと思ったが、あらわになった肉体は予想に反してたくましく、彼が”男”であることを今さらながらに実感した。

一気に目が覚めた私は、少し驚いたように眉を持ち上げて目を瞬かせているコウをただ呆然と見ていた。

「いや、着替えようかと…」

そう言って、コウの動きが止まる。













「あ! ご、ごめんっ!」







自分が凝視していることに気づき、慌てて後ろを向いた。
微笑か嘲笑か、かすかな笑い声を背に受け、私の頬にさらに熱がこもる。

――男の人の裸なんて、はじめて見た…

”昔”はどうだったかわからないが、少なくとも記憶があるうちでははじめてで。
鍛え抜かれた肉体を思い出して、胸の鼓動がますます早くなる。







ちらりと、視線をもう一基の寝台に移す。

今回は二人部屋が空いていたからよかったものの、今後シングルの部屋を一室しか借りれなかった場合はどうしよう。
一人が床で寝るとしても、男女が同じ部屋で一夜を過ごすというのはいかがなものかと――







…( ゚д゚)ハッ!

そんなことを言ったら今回だって問題だ。
よくよく考えれば、野宿のときに同じテントでベッドロールを並べて寝ていることのほうがよっぽどまずい気がする。面積的な問題で。







「レア」

不意に呼ばれ、心身ともに跳ね上がった。







くだらない妄想を慌てて消し去りどぎまぎしながら振り返ると、着替えを終えたコウが傍らに立っていた。
胸元がざっくり開いているニットは雪のような白で、髪色とよく合っている。

…( ゚д゚)ハッ!

また見入ってしまっていたことに気づいて思わず顔を赤らめる。
そんな私を見て、コウはふっと目を細めた。

辺りが一瞬で光り輝くような微笑み。
その双眸に穏やかさを覚えるものの、同時に全てを見透かされているような感覚に陥る。
それでいて自分の手の内は絶対に見せないその微笑を、私は少しずるいと思った。

「少し出てくる。君も好きに過ごすといい」

「う、うん。いってらっしゃい」

そう言って私が手を振ると、コウはにっこりと笑い部屋を出て行った。















































「!?」







引っ張られたように勢いよく飛び起きる。
そしてここが宿屋の一室だと認識して、ふぅとため息をついた。

どうやらコウを送り出したあと、そのまま眠ってしまったらしい。
鎧を着たままだったので体の節々が痛い。







ブロンズグレイの髪に深緑の目。
あれはまさしくコウだった。







そっと唇に触れてみる。
そこには妙にリアルな感触が残っていた。

――何だったの、今の夢…

キスしている夢まで見るなんて、コウの裸がよっぽど衝撃的だったのか。
そう思うと、情けなくなるのと同時に何だか恥ずかしくなってきた。







まだぼんやりとする頭を軽く振り、のそのそとベッドから這い出て、少しくすんだ窓から外を見た。
天気は快晴で、眼下にのびる煉瓦道を人々が行き交っている。

すでに太陽は真上近くまで昇っていたが、コウが部屋に戻ってきた形跡はなかった。

――コウも好きにしていいって言ってたし、私も出かけようかな…

こんなに天気がいい日に部屋に籠っているのはもったいない気がする。
それに、夢の出来事といえど、今彼と顔をあわせるのは何となく気まずい。

――…うん、出かけよう!

気分転換も兼ねて、私は街へ繰り出すことにした。


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ロマンス…(ノ´∀`*)

耐性の低い私は毎度モジモジしながら読ませていただいておりますww
描写などがお上手なので、勉強になります。

今さらながら、レアさん可愛いですノ(´д`*)
[ 2011/08/13 10:07 ] [ 編集 ]

>>鋼鉄蒸気さん

乙女向きのゲームも好きなもので、今後もちょいちょいこういう場面でてくるかもですw

こんな稚拙な文章読んでいただけるだけで光栄です、ありがとうございます><
気ぃ向いたときにちょびちょび書いてるだけなので忘れた頃に更新すると思いますが、よろしかったらまた読んでやってください!

キャラ自体を褒められることがあまりないので照れますデス(*ノωノ)
[ 2011/08/14 00:54 ] [ 編集 ]

ああなんかこういう恋愛ものってオブリであまり見たことなかったし、おもしろくていいですねえw
自分もかなり前にこういう系の話をちょっと書いてみよかなとか思ってたときがあったんですが、
あんまりそういう漫画とか本とかゲームもやったことなかったので全然台詞とか思いつかなくて諦めちゃいましたw

続きも楽しみにしてます!
[ 2011/08/16 23:27 ] [ 編集 ]

>>Gazさん

ハチャメチャ冒険記にするつもりが、いつの間にやらこんなかんじにw
書いていたら甘い言葉やら展開を欲してしまって…だめですねぇ(*ノωノ)
また方向性変わるかもですが、よろしかったら読んでやってください!
そういえばオブリってエロはあっても恋愛ものってあまり見かけないですねw

Gazさんも以前に月影一族のお話書いてはったよな~と思って今見てみたらその記事なくなってる!?w
かわりにホラー注意なショートストーリー発見しちゃったので読ませていただきます(人´∀`)
[ 2011/08/17 01:23 ] [ 編集 ]

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