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第8話 火鬼神



シロディールの東に位置するニベネイの訛りや習慣を持つシェイディンハルは、自然に囲まれている静かな街だ。
建築様式はノルドやダークエルフの影響を受けているらしく、街の建物のほとんどが白壁に赤紫の屋根瓦という造りで、その色合いが落ち着いた雰囲気をかもし出している。







空は晴れ渡り、降り注ぐ日差しは柔らかく、髪を撫でるそよ風はとても心地いい。
そんな昼下がりの穏やかさに、思わず口の端が緩む。

そういえば、旅に出てからはずっとコウにくっついて行動していたから、一人で出歩くことがなかった。
初めての一人歩きに少し緊張しながらも心は躍り、自然と足取りも軽やかになる。どこに行こうかな。







中州を越えて住宅が建ち並ぶ通りに差しかかったとき、肩に衝撃が走った。

「あ、ごめんなさい」

どうやら、またきょろきょろとよそ見していたらしい。
前から歩いてきた衛兵に気づかず、そのままぶつかってしまったようだ。

私はぺこりと頭を下げて詫び、衛兵の脇を通り抜けた。

――ちゃんと前見て歩かないとね…

田舎者丸出しな自分の行動に少し恥ずかしくなる。







「おい、待て」

呼ばれて振り返ると、今し方ぶつかった衛兵が仏頂面でこちらを見ていた。

「ぶつかっておいてそれだけか?」

言いながらつかつかとこちらへ歩み寄ってくる衛兵の口調は怒気を帯びている。

謝り方が悪かったのだろうかと思い、私は衛兵のほうにきちんと向き直って頭を下げた。

「えっ……あ、あの…すみませんでした」

「だから、”それだけか”と言ってるんだ」

「『それだけか』って…ですから、こうしてちゃんと謝ってるじゃないですか」

確かに注意力散漫だった私が悪いかもしれないが、ここまで言及されるようなことだろうか。

何が気に食わないのかわからずむっとして言うと、衛兵も少し苛立ったように眉をしかめた。

「まだわからないのか? 罰金だ、罰金。
――そうだな…今のは暴行罪で、罰金1000Gだ」

「え!? ちょっとぶつかっただけじゃない!」

「それだけで十分な暴行罪だ。それともなんだ、払えないとでも言うのか?」

「当たり前よ!」







思わず自分の耳を疑う。
その法外な金額も然ることながら、こんな馬鹿げた理由で罰金を科せられるなんて聞いたことがない。

噛みつくようにして言う私とは対照的に、先ほどとは打って変わって冷静な衛兵はふんと鼻を鳴らして自分の顎に手をやった。

「そうか…それなら、別の方法で払ってもらうしかないなぁ」

そう言って下卑た笑みを浮かべ、私の頭のてっぺんからつま先までを舐めるように見た。

――こいつ、腐ってる…!

その視線の意味を悟り、激しい嫌悪感を覚える。
こんなやり方、輩と変わりないじゃないか。

身の危険を感じ慌てて踵を返したが、すぐさま腕を掴まれてしまった。
足を突っ張り必死にもがいて抵抗するも男の力に敵うはずもなく、そのままずるずると引っ張られていく。

たまたま通りかかったのか、終始私たちのやり取りを見ていたのか、少し離れたところに立ってこちらを見ていたこの街の住民であろう男と不意に目が合い、咄嗟に助けてくれと目で訴えた。
しかし男はすぐに目を逸らし、そのままどこかに行ってしまった。
助けを求めようと辺りを見回しても、みな我関せずと見向きもしない。

誰も助けてくれない。

そう悟ったとき、とてつもない恐怖が私を襲った。







「さぁ、大人しく来るんだ! 抵抗すれば、公務執行妨害でさらに罰金1000Gを科すぞ!」

「やっ…ちょっと! 放して!」







「下手くそなナンパねぇ…」







「そんなに乱暴にしちゃ、ついて来るわけないじゃない。ねぇ、子猫ちゃん?」

女はそう言うと、私のほうに薔薇のような微笑みを投げかけた。

――『子猫ちゃん』…

…って、私?

「なんだ、お前は!?」

突如現れた青白い肌のエルフに誰何した衛兵は、掴んでいた私の腕を乱暴に振り放した。
その様子を見てなのか、女の眉が一瞬ひくついたのを私は見た。

訝しげにしている衛兵には一瞥もくれず、女はヒールを鳴らしながら一直線にこちらにやって来る。
そしてそのどこか色っぽい唇に再び笑みを湛えると、私の肩を抱き、そっと自分のほうへと引き寄せた。

晴れた日の地平線にみえる明るい空色のような瞳に、整った弓形の眉。
さらりと舞うキャラメル色の細い髪がきれいで、香水だろうか、甘美で上品な香りが鼻孔をくすぐる。

女は、思わずため息が漏れてしまいそうなほどに美しかった。



















「あなたのセンスのないお誘いに困ってる子猫ちゃんを見捨てておけなくって。
あなた、そんな調子じゃゴブリン一匹落とせないわよ?
女の子の口説き方、レクチャーしてあげましょうか」

「よ、余計なお世話だ!
第一、私はこの女が罰金を払わないと言うから、王宮に連行しようとしただけだ!」

「そうだったの?
あんなにいやらしい目つきをしていたから、てっきり子猫ちゃんを手籠めにしようとしてるんだと思ったわ」

息巻いていた衛兵だったが、一番痛いところを突かれて押し黙った。
その隙を見逃すまいと女は目を細める。

「あら、図星? だったら婦女暴行未遂で訴えられるわよね。
私、ここの伯爵様とはオトモダチだから、直訴しに行こうかしら」

「貴様、伯爵様の名を出して騙るとは!」

「嘘じゃないわよ、伯爵様に確認していらっしゃい。
私はアシュラ。名前を言えばわかるわ」

アシュラと名乗った女の態度は実に堂々としており、とても嘘をついているようには見えない。
衛兵も同じように思ったのだろう、それ以上は何も言わず、少し唸っただけだった。

「くっ……くそ!」

しばらくして進退窮まった衛兵は吐き捨てるようにそれだけ言うと、大股で立ち去ってしまった。







「あの、ありがとうございました」

退散する衛兵の背を見送ったあと、私はアシュラさんに礼を述べた。
彼女が助けてくれなかったら、今頃どうなっていたかわからない。

するとアシュラさんは妖艶な微笑を浮かべながら、じっとこちらを見つめてきた。

「本当にそう思ってる?」

静かに聞かれて私はもちろんと何度も頷く。

女の私がこれほどドキドキするのだから、男の人ならすぐにこの色香の虜になるんだろうななんてことを頬を上気させながら考えていると、今度は薔薇がほころびるような微笑みを投げかけられた。













「だったらうちに来ない? 今から帰ってお茶にしようと思ってたの。一人より、子猫ちゃんと一緒のほうがきっと楽しいわ」

だめ? と言って小首を傾げるその可愛らしい仕草に思わず二つ返事で頷きそうになったが、何とか踏みとどまって思考を巡らす。

あと一、二刻もすれば日が暮れる。
会って間もない人の家に行くのもどうかと思うし、遅くなればコウも心配するだろう。
でも彼女は私のことも助けてくれたのだから、きっと悪い人ではないと思う。
何より美人だし(*´ω`*)

――少しだけならいいかな。

しばらく悩んだあと、私は首を縦に振った。

「それじゃ、お言葉に甘えて」

私がそう言うと、アシュラさんは満足げに微笑んだ。

「ね? 私、ナンパ上手でしょ」


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こんばんわ。

なぜ部屋に行った後のSSがないのかと小一時間問い詰めt(ry

次回作も楽しみにしておりますw
[ 2012/01/20 20:33 ] [ 編集 ]

>>Nailflanさん

こんにちわぁ^^

お楽しみはとっておきませんとね(´∀`*)ウフフ
ってそんなええもんとちがいますがw

よかったら次回もどうぞお付き合い下さいませm( _ _ )m
[ 2012/01/21 15:44 ] [ 編集 ]

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