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第10話 その目に映すもの



「伯爵様」

小高い丘の上にそびえるシェイディンハル城。
その謁見の間にて、ウルリッチ・レイランドは城主アンデル・インダリス伯爵の前に跪いていた。

ウルリッチ・レイランド。
最近赴任してきたシェイディンハルの新任衛兵長で、先程レアたちと一悶着のあった衛兵である。

「少しお伺いしたいのですが、『アシュラ』という女をご存知ですか?」

不敬罪とその共犯とでも言って、あの場で二人とも連行してもよかった。
しかし、あのアシュラとかいう女が本当に伯爵の知り合いなら、逆に責任を問われるのは自分だ。
今このポストを失えば、せっかく見つけた”ビジネス”もおじゃんになってしまう。
あの女の言うとおりにしていることは癪だが、確認を取ってからでも遅くはないだろう。

そんなことを考えながらふとウルリッチが顔を上げると、青ざめた表情の伯爵が目に入ってきた。
心なしか唇も震えているように見える。

「ア、アシュラ…!?」

「は、はい。青白い肌のエルフで――」







「もういい! 黙れ!!」

突然の剣幕に、ウルリッチは目を丸くする。
伯爵は荒々しく席を立つと、どかどかと足音を鳴らしてウルリッチに歩み寄った。

「そいつには二度と関わるな! わかったな!?」

一方的にそれだけ言うと、伯爵は自室に戻ってしまった。

やはり知り合いだったのか。
捕まえなくてよかったと胸を撫で下ろしたウルリッチだったが、怒鳴られた理由が全くわからず、複雑な表情のままその場にたたずんでいた。


















――遅い…

部屋に戻ると、レアはいなかった。
好きに過ごせばいいと言ったから買い物にでも行ったのだろうと思っていたのだが、すでに日は沈み、それにしては帰りが遅すぎる。
宿屋の女将に聞くと、自分が帰ってくるほんの少し前に出て行ったと言っていた。
剣も置きっぱなしのようだしさすがに街の外には出ていないだろうが、街の中に長時間見て回るようなところは――







――…いや、彼女ならあり得る…

追い剥ぎにあれだけ感動するくらいなのだから、初めて訪れた街の店内なんて彼女にとったら宝石箱のようなものだろう。
きゃーとかすごいとか言いながら店員を困らせていそうだ。意外と抜けている様だし。

どちらにしろ、そろそろ探しに行ったほうがいいかもしれない。
彼女に何かあれば、あのアニャヴィに寝首を掻かれる。







「!」

扉を開けると、青白い肌のエルフの女が立っていた。
どうやら同時に扉を開けようとしていたらしい。
そして、その女の背には――







「レアっ?」

「大丈夫、眠っているだけよ」

ぐったりしているレアを抱きかかえ、その小さな鼻に耳を近づける。
よかった、ちゃんと呼吸している。
女の言うとおりただ眠っているだけのようで、見る限り外傷もなさそうだ。
ほっと安堵のため息を漏らすコウの腕の中ですーすーと小さな寝息を立てているレアを、女は慈しむような目で見ていた。

「よっぽど疲れていたのね。お茶してる最中に突然眠っちゃったの。
子猫ちゃんに宿泊先を聞いておいてよかったわ」

「連れが迷惑をかけたみたいだな。すまない、ありがとう」

「迷惑だなんてとんでもない。楽しい時間を過ごさせてもらったわ」

言いながらこぼれる笑みはまるで少女のように無邪気だが、どこか蠱惑的でもある。
不意に女がこちらに向き直った。

「私はアシュラ。あなたのお名前を伺っても?」

「コウだ」

「…コウ、ね。
それじゃ、私はこの辺で。子猫ちゃんによろしくね」

またねと言ってレアの頬を人差し指で数回触れたアシュラは軽く膝を折ってコウに会釈をし、透けるようなキャラメル色の髪をなびかせながら静かに立ち去った。














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こんばんわ。

なんだか意味深な展開w
続きも楽しみにしております。
[ 2012/03/11 22:19 ] [ 編集 ]

>>Nailflanさん

こんばんわ!
いつもコメントありがとうございます♪

交錯するそれぞれの思惑…
次回、その全貌がちょびっとだけ明らかになるかもしれない!←

と、ストーリーを深く考えているようで実はあんまり考えていないのに言ってみる(*ノωノ)w
[ 2012/03/14 00:14 ] [ 編集 ]

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