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第11話 堕落と良心 後編









今のポストに就く以前は帝都での任に当たっていた。
前シェイディンハル衛兵隊長とは旧知の間柄で、彼が退職する際に自分を時期隊長にと推してくれたおかげで現在の役職に就くことが出来たのだ。

皇帝のお膝元である帝都の衛兵は他の都市のそれと比べて精鋭で、故に威光が強い。
それに加えて犯罪を犯せば大小関係なく即牢獄送りにされるシロディールで、わざわざ衛兵に楯突こうとする一般市民は少ない。
畏怖されるべき存在。
そんな与えられた権力を自分のように”有効活用”している同僚も少なくなかった。

シェイディンハルに赴任してからも取るに足らないことで罰金を科し続けた。
抗議してきた住民は何人かいたが、さらに罰金を科すと少し脅せば大抵払ったし、それでも拒否する者は見せしめに財産を没収してやった。
その出来事はたちまち街中に広まり、やがて自分に歯向かう者はいなくなった。
副隊長のギャラスは顔を合わすたびに何か言いたげな目をするが、所詮は副隊長。伯爵に直訴されて問いただされたとしても白を切り通せる自信はあるし、奴が証拠を掴んでいるとも思えない。
伯爵は伯爵で自分たち一族のことにしか興味がないから、適当に業務報告しても全て鵜呑みにして気にも留めていない。

こんなに実入りのいい仕事、ほかにないだろう。
おかげでもうすぐ別荘にと考えている城を着工できそうだ。
完成した城で家族と過ごしている姿を想像して一人ほくそえむ。


ふと、室内の空気に芳香が混じっていることに気づいた。

「あなた、隊長さんだったのね」







「!?」

咄嗟に机に置いてあった短剣を引っ掴んで振り返る。

「お、お前――!?」

昼間のエルフか。何故ここにいる。どこから入ってきたんだ。
問い詰めるべきことはたくさんあったが、ウルリッチはそれ以上は何も言わなかった。
否、言えなかった。







最初に喉、次いで首筋が急激に熱くなった。
目の前の美女の唇にうっすらと笑みが浮かんだのと同時にぐちゃぐちゃと何かをかき混ぜるような音がして、熱さを感じた箇所がさらに熱を持った。
何が起こったのか認識するより先に、今まで味わったことのない激痛が全身を駆け巡る。
あまりの痛みに思考は完全に止まり、ウルリッチは痙攣しながらただ目を見開いていた。

「悪いことは出来ないわね」

深々と突き刺した剣を勢いよく引き抜けば、刀身に彫られた薔薇が血を啜って赤く染まり出す。

声にならない声を上げながら膝から崩れ落ちたウルリッチは首元に手をやった。
止め処なく溢れ出す鮮血の温かさにようやく喉を貫かれたことを悟るも、そこで事切れてしまった。


血溜まりにうずくまる肉塊を一瞥する。
その明るい空色であるはずの瞳は、凍てつく月のような冷たい光を放っていた。


















「御機嫌よう、伯爵様」

「――!?」







誰もいないはずのところから声がしたことに対して驚いたのはもちろんだが、伯爵はそれ以上に来訪者の正体に驚愕し、さらには恐れ慄いていた。

「最近赴任してきた隊長さん、随分と悪いことしてたみたいね。だめよ? しっかり管理しなきゃ」

幼子をたしなめるように言いながらアシュラが一歩、また一歩と近づいてくるたびに伯爵の顔から血の気が引いていく。
踏み込んで抜刀すれば斬れるほどに距離が縮まったとき、不意にアシュラが胸の辺りまで上げた手を捻った。

「ひぃぃっ!?」

情けない声を上げた伯爵が咄嗟に顔をかばいながらその場にへたり込んだのと、かさっと乾いた音が床に落ちたのはほぼ同時のことだった。

しばらくして自分の身に何も起きていないことがわかった伯爵は、いまだ震えの止まらない手をゆっくりと解いた。
悲愴に歪んだその顔はまるで死人のように青白い。







ふと、その名を口にすることも恐れ多い眼前の美女が一点を見つめていることに気づいた。
視線を辿ると、数枚まとめて四つ折にされた染みだらけの羊皮紙が自分の傍らに落ちているではないか。

言外に読めと言われていることは承知していた。
伯爵は恐る恐る羊皮紙を手に取り、目を通し始める。
手にして初めて紙の染みが血であること、そしてそれがまだ乾ききっていないことを知り、恐怖で顔を引きつらせていた伯爵だったが、読み進めていくうちにその表情に驚きと戸惑いが見え出した。

血染めの羊皮紙はウルリッチが親類に宛てて書いた手紙の一部で、そこには領民から不正に金を巻き上げていることや、その金で私財を肥やしていることなどが綴られていた。
さらにはこの不正に気づかない伯爵は無能だといった、伯爵家を愚弄するような内容のものまである。

全幅の信頼を寄せていたあの男が、まさか。

信じられないという気持ちよりも、裏切られたという思いのほうが強かった。
唇を噛んで手紙を睨みつけている伯爵の手が、今度は憤りで震え出す。







「領民に没収した財産を返すなり、お得意の隠蔽をするなり、好きにすればいいわ」

興味なさげにそれだけ言うと、アシュラは踵を返した。
磨かれた大理石を蹴る靴音は、燭台の灯が届かない先に広がる闇に溶けて消えた。












気づけばすでに朝日が昇っており、私は宿屋のベッドの上に横たわっていた。
コウによると、お茶会の最中に眠ってしまった私をアシュラさんがここまで連れ帰ってくれたらしい。
所構わず突然寝るなんて、自分が思っている以上に疲れているのだろうか。
とはいえ、失礼極まりないことをしてしまったことには違いない。

――あとでお詫びしに行かなくっちゃ。

まだぼんやりする頭でそんなことを考えながら、朝食に頼んだパンを千切って口に放り込む。
噛むたびに焼きたての芳ばしい音と香りが口いっぱいに広がり、それだけでなんだか幸せな気持ちになる。







「おい、聞いてくれよ! 今朝玄関先に小袋が置いてあったんだけどよ、中見たら昨日没収された金が入ってたんだ!」

「お前もか? アルドスも差し押さえられてた家を返してもらえるって朝っぱらから大はしゃぎだったぞ」

甘めのミルクティーでほっこりしていると、ふとそんな会話が聞こえてきた。
見ればカウンター席に陣取った男二人が興奮した様子で話している。この街の住民だろうか。
よほどいいことがあったらしく、男たちは宴も酣といったテンションで呑み出した。
本来なら「朝っぱらから呑んで!」とどやしそうな宿屋の女将もどこか嬉しそうにしている。

私もしばらくその様子を見ていたのだが、支度を終えて降りてきたコウの姿で我に返った。
今日はこれから、昨日自分がへばってしまって行けなかったギルドへ、朝食をとったあとに行くことになったのだ。
遅れまいと急いで飲んだコーンスープが思いのほか熱くてたまらず咳き込む。

「大丈夫か?」

「へ、へーき…」

言ってわずかに微笑んでみせたが、本当は口の中を火傷してしまってあまり平気じゃなかった。








                                                    And that's all ... ?


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おお、あのクエストをここまで昇華した表現でなさるとは…。
シリアス路線から脱線した上に奈落の底に落ちた私のブログでは無理ですわwww


たまにシリアスな展開も考えたりするんですけれど、どーしても途中で笑いのネタの方が強く湧き出てしまうのでもうあきらめますた(;´Д`)

バニラのNPCとかもうまく活用されていていいですね。
今後も期待してますです!!
[ 2012/04/27 23:26 ] [ 編集 ]

>>鋼鉄蒸気さん

こんばんわ、コメントありがとうございます^^

オリジナルストーリーだけでは今以上に内容スカスカだったので既存のクエと織り交ぜてみましたw
って奈落の底までいってますかww

私もほんまはギャグ路線でいきたいんですけどね…おもしろいおもんないは別にしてw
今出てるキャラだけだとあまりふざけられないので早くいろんな子登場させたいです(;´Д`)
といってるわりに執筆スピードがあがらんというw

読んでいただいてありがとうございました!
お話のストック尽きたのでいつ更新できるかわかりませんが、そのときはまたお付き合いくださいませ><ノ
[ 2012/04/28 21:09 ] [ 編集 ]

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